既存の株式会社の対応
新会社法が施行されたことで、既存の株式会社は、何か特別な手続きが必要になるのでしょうか。
現状のままで、存続するのであれば特段の手続きは必要ありません。
しかし、積極的に新会社法のメリットを享受したいと考えておられるなら、定款変更などの手続きを経て、新たな会社組織に作り直すことも可能です。
▼役員構成の見直し
既存の株式会社の役員は、取締役3名以上と監査役1名以上で構成されています。
しかし、取締役・監査役といっても人数を揃えるために家族や親戚、知人の名義を借りて役員に据えているというのが、中小会社の実態ではないでしょうか。
新会社法ででは、実態に合わせた柔軟な機関設計が可能になりましたので、役員構成の見直しも検討の余地があるのではないかと考えます。
株式の譲渡制限規定を設けている株式譲渡制限会社(中小会社のほとんどが株式譲渡制限会社です)の役員は、取締役1名でよく、監査役も不要です。
旧法の株式会社の制度は、もともと大企業を想定したもので、中小の会社にとっては重い負担となっているのも事実です。
▼取締役の任期の見直し
株式譲渡制限会社は、定款で定めをすれば取締役の任期を最長10年まで伸長することができます。
これによって、これまでの2年毎の役員変更登記の煩わしさから解放され、登記費用も節約できます。
▼株式の分散防止について
これまで、株式の譲渡制限規定を設けている場合でも、相続や合併による株式の移転は制限できなかったため、会社にとって好ましくない者に株式が分散することを防ぐことができませんでした。
新会社法では、定款で定めることにより、相続等で移転した譲渡制限株式について、株式を取得した者に対して会社が売渡し請求をすることができるようになりました。
売渡し請求を受けた株主は、その請求を拒むことはできません。
これによって、よりスムーズな事業承継が可能になり会社の経営を安定させることができるようになります。
新たに会社を設立する場合は、あらかじめ定款で定めることにより、また、既存の会社は定款変更の手続きによって、この制度を活用することができます。
◇売渡し請求をする際の注意点
まず、定款に売渡し請求ができる旨の定めがあり、かつ、譲渡制限株式であることが前提条件です。
- 請求期限
相続等があったことを知った日から1年以内に、株主総会の特別決議を経て請求します。
売渡し請求をされた株主は、その株主総会で議決権を行使することはできません。
- 売買価格
株式の売買価格は原則として当事者間の協議によりますが、協議が整わない場合は、裁判所に売買価格決定の申し立てができます。この申し立ては、売買請求の日から20日以内に行う必要があります。
- 財源規制
配当等の分配可能額を超える価格での買い取りは認められません。つまり、会社の体力以上の高額買取は出来ないということになります。
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