LLC(合同会社)の基礎知識
LLC(合同会社)とはこんな会社
新会社法で新たに設けられた会社形態がLLC(合同会社)です。海外では株式会社に匹敵するほど活用されている会社形態で、研究開発、産学連携などで大きな成果をあげています。
特にアメリカでは最近10年間で80万社ものLLCが誕生し、インテル、モトローラなどが1997年に設立した半導体技術開発のLLCは、効率的な研究開発で成果を挙げ、アメリカの半導体産業復活の一因となったことで知られています。
わが国では経済産業省が産業界の要望を受けて、2002年に研究会を設け日本版LLCの導入を検討してきました。
そしてようやく今回の新会社法で、新しい会社形態として制度化されました。
LLCと他の会社との違い
会社の分類として、「物的会社」と「人的会社」という分類の仕方があります。
株式会社は「物的会社」と呼ばれ、「物」を主体に考える会社です。つまり、設備やお金によって利益が生まれるという考え方です。
一方、LLC(合同会社)は、合名会社や合資会社と同様、「人的会社」と呼ばれ、「人」が重視される会社です。「人」の持つ知識やノウハウ・技術など、あくまでも「人」を基本としています。
同じ「人的会社」の中でも、LLC(合同会社)は他の2つの会社とは違う性質を持っています。
通常、「人的会社」は会社の債務に対して、無限責任(一部有限責任社員が存在)を負いますが、LLC(合同会社)は「人的会社」でありながら、株式会社と同じ有限責任です。この点がLLC(合同会社)と合名会社、合資会社との違いです。
LLC(合同会社)は、その性質上、研究開発型のベンチャー企業や専門家集団による事業、産学連携などに適していると言われています。
たとえば、技術やノウハウを持ち寄って共同で事業を始める場合に、
・小人数で、ルールに縛られないで自由に会社運営をしたい
・簡単に設立できて、できるだけ費用もかけたくない
という方にお勧めです。
また、小規模で同族だけの経営を望む場合に、廃止された有限会社の受け皿としての活用も期待されています。
LLC(合同会社)の特徴
LLC(合同会社)の最大の特徴は、「意思決定の方法や利益の分配が自由に決められる」という点にあります。
たとえば、AさんとBさんの2人が事業を始めることになり、その事業には、1000万円の資金と特殊な技術・ノウハウが必要だとします。Aさんは、資金はありますがノウハウを持っていません。Bさんは、技術・ノウハウは持っていますが、資金がありません。
Aさんが900万円を、Bさんが100万円を出資して株式会社を設立して事業を始めました。
そして1000万円の配当可能利益がでたとします。このケースの場合、株式会社は出資比率に応じて利益を分配しますので、利益分配の割合は9:1となり、Aさんは900万円、Bさんは100万円を受け取ることになります。
この会社はAさんの資金とBさんの持つ技術・ノウハウによって成り立っていますので、一見対等の関係に思えますが、実は資金の9割を出資しているAさんが主役の会社だということになります。
お金があるから事業ができて、利益が生まれる。だから出資者が出資額の割合に応じて利益を享受する。
これが「物的会社」である株式会社の性質です。
では、この会社がLLC(合同会社)だったらどうなるでしょうか。
LLC(合同会社)は、出資額の割合に関わらず、どのように利益を分配するか自由に決めることができますので、あらかじめAさんとBさんとの間で取り決めをすれば、利益の分配を折半にすることが可能です。
また、利益の分配だけでなく、会社の意思決定や運営のルールについても、会社設立時に社員(出資者)間で取り決めをすることができます。
これがLLC(合同会社)の最大の特徴であり、株式会社との決定的な違いと言えます。
事前に社員(出資者)間で取り決めをした事項は定款に記載しなければなりません。
株式会社の場合は、定款の記載事項の多くが法律によって制約を受け、発起人が自由に定款を作成することは許されません。
その点、LLC(合同会社)は法律上の制約が少なく、会社の運営については原則として、「会社内部の自治にゆだねる」としています。「人」が重視されるLLC(合同会社)の魅力と言えます。
次に、LLC(合同会社)の特徴として、株式会社に比べて安い費用で設立できる点があげられます。
法定費用として必要なのは、登録免許税6万円と定款の印紙代4万円の合計10万円だけです。
公証役場で定款の認証を受ける必要がありませんので、その際の手数料(5万円)は不要です。
株式会社との比較表をご参照下さい。(専門家に手続きを依頼される場合は、別途報酬が必要です)
| |
株式会社 |
LLC(合同会社) |
| 登録免許税 |
15万円 |
6万円 |
| 定款認証手数料 |
5万円 |
不要 |
| 定款印紙代 |
4万円 |
4万円 |
| 合計 |
24万円 |
10万円 |
|